昭和レトロな風情を徹底して再現されていて、あの年代のアイドルを追っていた方々には確実に刺さる作品に仕上がっていると思います。「菜月ひかる」の主演起用は慧眼でした。現在色んな意味で炙り出されている芸能界、あの頃は妄想が飛躍した都市伝説だったものが、実は暗黙の了解の中での現実である事が発覚したりだの、パラレルワールドとリアルが合致してしまった「今」だからこそ、その混濁に「エロス」を垣間見る事ができるのだと思います。映像も「敢えて」粗くしており、絡みも最後まで行わないので賛否が分かれる作品だとは思いますが、個人的には共感できました。ボイトレ中に従順な「夢見る少女」が徐々に穢されていく過程が素晴らしいですし、白目を剥いてえずく姿とブラウン管の中で躍動する彼女との落差がとても淫靡でした。