設定が設定なので、基本的に尾崎さんはずっと困り顔です。時折「兄妹だからダメだよ」的な事を言って罪悪感を煽ってくれますが、いかんせん少ししかないのが残念。距離感もやりようよってはもっと詰められると思うし、もっともっとこちらの嗜虐心を刺してくれる煽り文句も必要だと思います。
結論からすると、姉と弟の禁断の関係を描く本格派の作品ではない。設定からも状況からもジョークが満載と言える。間の抜けた姉と意地の悪い弟のコメディ。まず姉のキャラクターが従来の型では分類できないような、下手な少年漫画にでもありそうな、故に独特なものである。弟のVRを勝手に使用し自慰に耽る訳だが、何故、それが熟睡しているとはいえ、弟の部屋でするのか全く意味がわからない。弟に思うところがあり、弟の部屋ですることに興奮を高める要素があるのかと思えばそうではない。あくまで弟が寝ている間に隠れて使うというだけである。いずれにしても、視界を遮られるVRを使うのなら、せめて弟がいない時間や自身の部屋に持ち込むのが合理的だろう。だが、この姉はそうはしない。そして、意地の悪い弟が目を覚まして、VRと自慰に耽る姉を弄るのだが、ここでも弟の行為とVRがリンクするというジョークがある。当然、本作を視聴するユーザーにはVRにそのような没入感が無いことは明らかであり、この姉のVRという仮想現実に対するあまりにも古臭い観念に笑ってしまう。しかし、目覚めた姉は至って普遍的な常識を理解している。姉と弟という関係、避妊しないことのリスク、別に弟が好きな訳でも何でもないなど、そのコントラストがより一層にコメディとなる。一連の行為は意地の悪い弟に沿って進行し、姉は終始に渡って小言や嫌味を言いながらも完全には拒否しないという展開であり、ご都合主義的で非常に見やすい。常識は備えていながらどこか間の抜けた、性には奔放で別に弟が好きでも何でもないという、ある意味では新しい姉との関係。姉と弟の関係を描いた本格的な作品とは一線を画し、禁断というにはジョークが過ぎる。本格的な作品を望む人にはオススメできないが、上記のようなジョークを楽しめる人には十分に楽しめる内容である。尾崎えりかの一層に磨きのかかった艶のある黒髪のキューティクルには、髪にフェティシズムを持つものなら高まるのではないか。ここからは雑感として本作に直接は関係は無いが、容姿、声、スタイル、演技、テクニックなど、今や伝説の有村千佳の雰囲気を纏い始めた尾崎えりかには今後も期待する訳だが、衣装やウィッグにこだわったコスプレなど、是非とも見てみたい。本作のようなジョークとしても破綻させない、単なる演技だけではない魅力を備えている。