軍二監督は今どうしているのか。3,4年前から新作にお目に掛っていないが。軍二監督の「古都の恋」「車やの恋」はポルノAVとしてはアカデミー賞に匹敵する作品と思っている。性を人の営みとして、人の密やかな、また、後ろめたいひそかに、しかし、情熱的なものとして、しっかり、描いてくれる得難い監督だ。次を継ぐ人が村山恭助、望月・・とかいないではないが、これほど、多彩な性を描けてはいない。すぐネタ切れになってしまう。軍に監督が現役であれば是非新作を見たいものである。
プレイボーイの行商人を主人公にした鬼才「川崎軍二」監督によるエロス劇場。舞台は、昭和40年代の関東地方のとある山村。富山の薬売り「石井健三」は、全国津々浦々を忙しく飛びまわる傍ら、行く先々の定宿で、女中と仲良くなっては、セックス三昧の日々を送っている。今回も、新婚ほやほやの女中「のり子(舞乃るあ)」と不倫を楽しんだ後、得意先の農家で、「欲求不満の人妻(渡瀬りえ)」の青姦現場を高みの見物。さらに、宿に戻って、再び、のり子と大浴場で情事に耽る。一ヶ月後、別の村に行商にやって来た健三は、地元の旧家に一泊するが、突如腹痛を訴えた「奥様(酒井ちなみ、紫葵)」を介抱する際に、その内股に「艶ぼくろ(いわゆる『名器』の証)」を発見。好色の血が騒いだ彼は、そのまま、彼女と肉体を重ね合わせ、翌朝、お暇の前に、もう一発。まさに、昭和の香り漂うおおらかでのんびりとした作品である。