風光明媚な場所で、文太が一人紙を見つめながら、立っている。紙をくしゃくしゃにして、ポケットに入れる。溜息を付くサラリーマン・文太。溜息をつき、車に戻ろうとする。その目の前をふらふらと歩く女。文太は一瞬目を奪われる。女の歩いている様子が明らかに変だった。ここは専用道路上。首を横に捻り、運転席のドアを開けた。そして、運転席に座りバックミラーを直そうとミラーを見た。すぐにドアを開け、後方に走り出した。目を閉じ、道に倒れている女を抱き起こす文太だったのだが…。
この女優、正真正銘のAV女優でありながら、にもかかわらず、たいした演技力の持ち主だ。普通の映画でも脇役なら務まりそうだ。父親が殺害された現場を見てショックで記憶をなくし、そのために自身が殺●に関与したことを疑われて、孤立し、苦しむという人物設定なのだが、彼女が自分の苦しみを告白する長ゼリフのシーンには、思わず感情移入してしまった。それだけに、後の続く濡れ場が普通のAVになっていて、変な違和感があり、エロさは感じられなかった。男優も役柄にあった演技で、全体としては中途半端な恋愛映画といったところか。
カオルさんの声が良かった。喘ぎが良い。ただ、僕の好きな体ではなかった。でも、この『たびじ』シリーズは、良い。
着地失敗の作品。前半は、謎の女(夏樹カオル)の演技や、文太の情けない所などはキャラ似合っていて、カラミのシーンが、無ければちょっとしたVシネかと思うくらいの作品だった。後半はカラミ中心というよりカラミしかない訳だが、お互いの現実を忘れるかのような雰囲気でのエッチは切なさも感じられて良かった。が、最後のオチは忘れてしまったのではと思うほど、何もない。それなりの、オチがついていれば☆5は確実だった。