過去に縛られた記憶、それは狂おしいほど淫らで甘美な罠だった。死ぬ想いで断ち切った縁。裕香にとって縄は禁断の果実…。躯のなかにまだ、執着と情炎がくすぶり燃えつづけている。彼女は欲に溺れてしまうのだろうか…。
この高橋裕香というのは、基本的に知性と気品のある良い女である。しかもM性が強く、上手に育てれば相当なM女優になれた素材であったと思う。しかしながら、短時間で数本のSM作品に出演して終わってしまった。本作品では雪村の調教を受けている。裕香について一つ残念であったのはショーツ(パンティ)を脱いで全裸になることをためらっていたことである。彼女なりに、プライドがあったのか、あるいは完全奴●になることにためらいがあったのかもしれない。冒頭の着衣でのインタビューで裕香は、SMにのめり込むことへの不安を口にしている。のめり込んで、その後に求めるプレイ相手がいない場合にどうするか不安であるとつぶやく。このためらいが、彼女を中途半端な形で女優を終わらせた要因であろう。裕香には思い切ってM女として生きる覚悟を決めて欲しかった。そうすれば川上ゆうに匹敵するM女優になれたと確信する。また、彼女程の良い女ならば、永久奴●としたい男はいくらでもいる。雪村は、裕香を立位で縛った後で、しびれを切らして、「これ要らんやろ」といってショーツを引きずり下ろす。このシーンが実に良い。この後、彼女は全裸で雪村に縛られる。美しい女である。全裸で縛り上げられるのが似合っている。このままM女優としての路を歩んで欲しかった逸材であった。