白装束に身を包み、裸足の女が山の上の神社の階段を一歩一歩のぼっていく。決意を秘めて拝殿にぬかずく女の顔に、妖しくよぎる死への愉悦。やがて女は一室に閉じこもり、白衣の前を静かにひろげ、妖しく撫でていると再び浮かぶ快楽への微笑。短刀の鞘が払われ、ぬめやかに光る官能の下腹にぐさりと突き立てられる白刃。肌を切り裂く苦痛と、願望を遂げた快楽の声をあげて悶える女の全身は壮絶な色香にあふれ、鮮血にまみれます。切腹する女の心理の奥底を、映像だけで表現した快心の作。
ぬめやかに光る官能の下腹にぐさりと突き立てられた苦痛と、快楽の声をあげて悶える女の様は独特な色香を感じます。鮮血にまみれ胸を突き果てる姿は更に壮絶さを増します。余分な音も無くあえぐ声だけ聞こえのも効果的だと思います。
正直なところ、3つのファイルのうち、メインとなる腹切りは1つだけなので、そこまでが非常に間延びした感じもするのですが、本当のマニアにはそこまでも重要なのでしょう。メインとなる腹切り部分は、細かいところを突っ込めばいくらでも突っ込めるのですが、女優さんが時折見せる笑顔とも苦痛の表情ともつかない顔についつい引き込まれてしまいました。
映像はそれなりに壮絶ですが、同シリーズの「作品集5-生贄」程ではありません。なのに何故、「この作品はエライ!」かというと、腹切り場面といわず、半身裸の場面といわず、はたまた脱いでいる最中ともいわず、白装束に身を包んだママの彼女で十分ヌケてしまうのです。彼女は特に美女というワケでもないのにです。事程左様に、早乙女の恍惚と自虐に陶酔しきった表情はステキでした。舞台設定が社の密室の中というのも、このテーマとしては、雰囲気を添えてよろしかったですね。