屈辱の仕打ちに酔いしれる女の記録。SMに不信感を持っていた黒木なみに縛師・由比氏の不思議なパワーが。彼女が今まで体験したことのないエクスタシーに感動の涙を流し、蝋燭、鞭、縛りでイッてしまう程の真性M女に生まれ変わった。
この年代、この作風では珍しい程の、整った美顔とスタイルの持ち主「なみ」嬢。しかも事あるごとに、小刻みに反応する良質なM的要素を、感度でもイキ方でも魅せてくれていた。他作も観たくなる女優である。
股縄でペッティングで鞭で蝋燭で男根で、とにかく最初から最後まで逝きまくりです。その逝きまくり方が大げさでオーバージェスチャーだと見る側はかえってシラケテしまうのだけれど、たいして美人でもない黒川なみは素直にSMの快楽に身を委ねようとしているところが好感をもたせ、見る側もつい引き込まれてしまう。押し殺してもつい漏れ出てきてしまう女の快楽を表現する日本的な美意識まではないけれど、何時果てるとも知らない、くり返す波のうねりような女の被虐の歓びと欲望の姿は、SMという世界があることをリアリテイをもって説得しているように感じられる。ただビデオとして難点を挙げれば若い男優二人と入浴して絡む部分は全く不要でマイナス出さえあると思う。
かつてこの作品で奇譚クラブのファンになり、いままで観たなかで最高傑作、特に後半はAV史上でも屈指の蝋燭プレイ。とにかく蝋燭の量がハンパではなく、3人で4本の蝋燭で全身を焼き尽くす。股間への集中垂らしや乳房の蝋を取り去ってさらにかけ直しの連続や、途中から至近距離からとか責め方がエグイ、しかも蝋燭をかけながらムチに男根の3点セットで果てしなく責めまくる。何より嬢の反応が秀逸、苦痛より喜んでるかのように何度も何度もイキまくる。最高のプレイに最高のM女という取り合わせで傑作になったと思う。この由比小雪という縛師、どれだけのAV作品を残しているのか知らないが、他作品があったら観てみたい。
一番いいところでテロップが入ってくると、とてもしらける。しかもテロップが顔よりの所に出て来るので非常に気が散る。あとカメラがイくところを捉えていない。イってる時の顔がちゃんと見れるようにとって欲しいものだが・・・女の体の真ん中にカメラを据えてしまっているのでイく時に女が首をそらすと顎と鼻の穴しか見えない。この作品のいいところは女のエロを存分に引き出しているところだろう。こういうことがしてみたいという男の欲望を掻き立てるものがある。蝋燭とムチだけで行かしてるところもエロい。イキ顔の美しい絵が少ないという意味では星四つだが、そういったところがレベルが高いので星五つとした。
「奇譚クラブ」は数あるSM作品のメーカでもアートやシネマジックと並んで老舗で本格派のSMメーカーであり、SMの神髄である「こころ」を大切にした作品群である。今はもうないメーカーだろう。今から見れば、激しいセックスの描写はないが、蝋燭や縄での攻めで女性の美しさを引き出している。今時の単に抜き差しするだけの描写とは大違いである。古き良き時代の産物で保存しておきたい作品群である。そこそこ美形の黒木なみ嬢。縛ら垂れただけで、蝋を垂らされただけで身体を震わせてイッテしまう。今でいう脳イキというやつなのかもしれない。非常に見ごたえのある作品であり、懐かしさを感じる映像であった。もうこういうのがないのは寂しいことである。